大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和30年(あ)3995号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

原審弁護人能勢喜八郎の上告趣意は判例違反をいうが、海難事件で審判所のなした裁決における過失の有無に関する判断は、同一事件について刑事裁判をなす司法裁判所を拘束するものではない。海難審判所のした裁決に反する判断が所論のごとく刑訴四〇五条二号三号にいわゆる判例違反ということができないのは明白である。その余の論旨は畢竟事実誤認、単なる法令違反の主張を出でないものであって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例